2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧
十 このお話は同時進行ではありませんのでまだバードサミットは開かれていないことになっていますが、ご存知のようにサミットはすでに終了しています。 総裁カラスはその成果を自分の手柄としてあちらこちらで話しているようです。総裁の演説に感動して、烏…
九 山鳩上人と別れたカンタローは、寺の裏手の放生池までやってきました。一人になって考えてみたかったのです。ところがそこには先客がいました。赤色カラスが一心に羽を繕っていたのです。 「いやあ、気持ちいいよ。いっしょにどうだい」 赤色カラスから話…
八「どうかしたのかカンタロー、情けない顔をして、豆鉄砲でも食らったようじゃないか」 通りかかったのは善草寺の最長老山鳩上人です。 「おお、これはお上人さま、おはようございます」 カンタローカラスはかしこまりました。山鳩上人は、鳥の国では一、二…
七 サミットも近づいたある日、カンタローカラスは何気なく「バードタイムス」を見てびっくりしました。そこには烏の森特派員発としてこんな記事が掲載されていたのです。■黒いハト、何処をどうとんでいるのでしょうか。 これはハト共和国のはなしです。 こ…
六 カンタローカラスはよくわからなくなりました。 「でも、こんなことが許されていいのだろうか」 結果的には、灰色カラスは自分の思いを遂げるために何十羽もの烏の森のカラスたちの生活を奪ってしまったのです。総裁カラスも自分の保身のために灰色カラス…
五「それはちょっとちがうんじゃないかしら」 「烏の森風雲録」を読んだというミルカラスが電話をくれました。ミルカラスは組長カラスの一羽で、総裁のやり方にがまんができず烏の森を飛び出したインテリカラスです。医者だったので、その技術を生かして何と…
四 赤色カラスが言うには、最初から灰色カラスは烏の森を乗っ取るつもりでやってきたというのです。烏山を追い出された後、灰色カラスはなぜ正しいことを主張した自分が追い出されるはめになったんだろうかと、一生懸命に考えたのでしょう。その結論が権力に…
三 カンタローカラスも烏の森を追われた一羽でした。カンタローは羽が黒いカラスだったのですが、総裁たちを強く批判したため、灰色カラスから「残ることを希望しているようですが、あなたには出て行っていただきます」と言われて追い出されてしまったのです…
二 はじめのうちは長老と一般カラスの間にたってなんとかなだめてきた組長カラスたちでしたが、そのうちに我慢ができなくなったのか、組長をやめるといいだしたのです。 一般カラスたちはどうかやめないでくれと嘆願書をつくって総裁や組長カラスに訴えまし…
一 そのむかしカラスはみな黒かったわけではありません。もちろん黒いカラスもおりましたが、青いカラスや赤いカラスや黄色いカラスや、白いカラスだっていたのです。 そんな何十羽ものカラスが共同生活を送っている森がありました。烏の森というところです…